﻿**********Event2**********
-----Page1-----
#Message#
　
数日間、口をきかなかったキリは
ようやく言葉を発した。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 8, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
私ってバカね。
##


#Message#
　
決して悲しみが癒えたわけではないだろう。
##


#Message#
　
けれど彼女は微笑んでいる。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 8, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
人間にとっての10年がどれほど長いか
忘れていたようだわ。
##


#Message#
　
彼女の声は大人びていて、このときはじめて私は
彼女がずっと年上であったことに気付いた。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 8, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
あなたの恋がうまくいくことを
願ってるわ、エステル。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: エステル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]エステル\n[5]
……
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: エステル, 13, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]エステル\n[5]
……ふ。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 5, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
どうしたの？
##


#Message#
　
キリには聞かれるまま
全てを答えていたと思っていたが……。
##


#Message#
　
私は最も肝心なことを
誰にも話していなかった。
##


#Message#
　
私はいつも誰かに憧れるだけ。
##


#Message#
　
何者にもなれず、特別にもなれず、
誰にも愛されることはなく……。
##


#Message#
　
ただそこにいるだけ。
##


#Message#
　
なにもできはしない。
##


#Message#
　
ただ己の不幸を嘆くだけ。
##


#Message#
　
私は誰も幸せにできない。\!
誰かを思いやることも、助けることもできない。
##


#Message#
　
どうして私はこんなにも弱くて、
どうしてこんなにも身勝手なんだろう？
##


#Message#
　
恋人を失ったキリは
それでも微笑みをたたえて私を見ている。
##


#Message#
　
私が自分のことしか考えていられないときに、
私のために祈りを捧げてくれる。
##


#Message#
　
私と彼女はこうまで違う。
##


#Message#
　
もし彼女が空から降りてきた天使だったとしたら
それを受け入れることもできたかもしれない。
##


#Message#
　
けど、そんなことはありえないのだ……。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: エステル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]エステル\n[5]
いいんだ。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: エステル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]エステル\n[5]
そんなこと……祈らなくていいんだ。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: エステル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]エステル\n[5]
かなわない願いだと知っているから。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: エステル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]エステル\n[5]
だってあいつは……
私の父親なんだから。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 6, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
……
##


#Message#
　
ある日、私は人づてに聞いた情報から
彼が自分の父親であることを突き止めた。
##


#Message#
　
彼が鉱山の村に金を送っていたという話を
聞いたのだから、もう間違いなかった。
##


#Message#
　
そのとき、私はどんなに失望しただろう？
##


#Message#
　
ずっと父親に会いたかった。\!
言ってやりたいことがたくさんあった。
##


#Message#
　
金だけよこして会いにこなかった父を、
母の死を見届けられなかった父を、
思いっきり罵ってやるつもりだった。
##


#Message#
　
だって、父親は私のことなんて
どうでもいいのだと決めつけていたから。
##


#Message#
　
私は日に日に弱っていく母を前に何もできなかった。
##


#Message#
　
自分の弱さへの怒りを、父に転嫁していたのだ。
##


#Message#
　
でも……
私の父は、間違いなく私を愛していた。
##


#Message#
　
いや、過去形じゃない、
今も私のことを想ってくれているのだ。
##


#Message#
　
けれど……そのことを喜ぶことはできなかった。
##


#Message#
　
彼が自分の父親だと知ったとき……
ただただ、涙があふれてきたのだ。
##


#Message#
　
なぜあのとき帰ってきてくれなかったんだろう？\!
なぜ今になって私の前に現れたんだろう？\!
なぜ彼に恋をしてしまったんだろう。
##


#Message#
　
なぜ真実を知った今も諦めきれないのだろう。
##


#Message#
　
私は、どうしたら……。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: エステル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]エステル\n[5]
私を汚らわしい女だと思うか？
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: エステル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]エステル\n[5]
私は思う。\!
彼が自分の父親だと知ったとき
私は孤独になるしかなかった。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 5, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
エステル……
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: エステル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]エステル\n[5]
魔女を倒そうとしたジークに協力したのも
下心があったからさ。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: エステル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]エステル\n[5]
父のことを忘れられるかと思った。\!
けれどジークには大切な人がいて……
諦めるしかなかったというわけさ。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 13, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
……
##


#Message#
　
キリの頬を、透明な涙が伝う。\!
そのしずくはキリの輪郭をなぞり
やがて彼女の手の上に落ちた。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: エステル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]エステル\n[5]
なぜ泣く？
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 13, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
私って、自分のことばかりね。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 13, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
みんなが私に優しくしてくれたのに、
私は彼一人すら大切にできなかった。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 13, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
あなたが苦しんでいることになんて
気づけなかった。
##


#Message#
　
キリは細い腕を伸ばし、
##


#Message#
　
私の体を抱きしめた。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 13, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
エステル……
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 13, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
辛い思いをしたのね。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: エステル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]エステル\n[5]
……
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: エステル, 4, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]エステル\n[5]
……そうかもしれないな……
##


#Message#
　
私たちはしばらくそうしていた。
##


#Message#
　
それで傷が癒やされることはなく、
自分の心の傷をますます自覚するばかりだったが、
それでも少しだけ重荷が軽くなった気がした。
##




