﻿**********Event2**********
-----Page1-----
#Message#
　
かつての仲間に促されて、私は階段を降りはじめた。
##


#Message#
　
目の前には無限に続く空と海、
そして、はるか下に緑の陸地が見える。
##


#Message#
　
ここからでは遠すぎて町までは見えないけど
そこにあることは知ってるわ。
##


#Message#
　
透明な階段は、私が体重をかけるたびに
鈴のような綺麗な音を鳴らす。
##


#Message#
　
まるでそれは祝福の音色のよう。\!
追放された天使を送り出すための階段は、
私にとっての希望だった。
##


#Message#
　
見下ろした世界は遥か遠く。\!
太陽がすべてを美しく照らし出していた。
##


#Message#
　
まるで、私の生が
いまこの瞬間はじまったみたい。
##


#Message#
　
仲間は私を哀れんだけれど、
私は悲しくもなんともないの。
##


#Message#
　
みんなは私の翼を褒めてくれたけれど、
この翼を無くしてしまってもいいの。
##


#Message#
　
だって、地上にはあの人がいるから。
##


#Message#
　
愛しいあの人。
##


#Message#
　
十年前に別れたきりだけど、彼のことだから
きっと待っていてくれるよね。
##


#Message#
　
待ちきれなくて、
手すりもない階段を駆け下りていく。
##


#Message#
　
遠くに見えていた島が、だんだんと近づいてくる。
大地が、海が、森が、いっきに近づいてくる。
##


#Message#
　
優しい風が吹き上げてきて私の頬をなでる。\!
大地と木々の、甘い香りがした。
##


#Message#
　
なんて気持ちが良いんだろう。
##


#Message#
　
ようやく会うことができるんだね。
##


#Message#
　
ずっとこの時を待っていたんだよ。
##


#Message#
　
私はもう天使でもなんでもない。\!
あなたと同じ時を生きて、
最後の時まであなたの隣にいるの。
##


#Message#
　
あなたもきっと、覚えているでしょう。
##


#Message#
　
ともに過ごした日々を。
##


#Message#
　
あの日かわした約束を。
##


#Message#
　
大地が近づくにつれて
私の翼は炎のような光を帯び始め、
やがて燃え尽きるかのように消えていった。
##


#Message#
　
裸足で草地を踏む。
##


#Message#
　
草を踏みしめたとき、私は感動に打ち震えた。\!
白い翼は消え去り、
ただの少女となった私がそこにいた。
##


#Message#
　
風に揺れる木々が愛おしい。\!
……さあ、あの人に会いに行こう。
##


#Message#
　
彼と最後に会ったのは
『神の塔』と呼ばれる場所だった。
##


#Message#
　
かつて天使たちは地上に住まい、
人間たちのために尽力していたという。
##


#Message#
　
その当時、神と人間が交わるために
使われていたという塔があった。
##


#Message#
　
天使は塔に住まい、人間の願いを叶えていたの。
##


#Message#
　
けれどいつしか人間と神の間には隔たりが生まれ、
天使はこの地を去った。
##


#Message#
　
それでも塔だけは永い時を経てもなお
残されている。
##


#Message#
　
その塔には、神からの贈り物として
今でも不思議な力が眠っている……。
##


#Message#
　
神にしか許されない奇跡を起こし、\!
人が最も望んでやまないものを与えるという。
##


#Message#
　
それがなんであるかは知らない。
##


#Message#
　
知らないけれど、私はそれを
『愛』ではないかと思う。
##


#Message#
　
あの塔にあるなにかが私と彼を引き合わせ、
私と彼を愛しあわせたんじゃないかって思うの。
##


#Message#
　
十年前、私は
人と関わってはならないという掟を破り
『神の塔』に降り立った。
##


#Message#
　
そこで彼と出会ったの。
##


#Message#
　
それからというものの、毎日ここへやってきては
彼と様々なことを話した。
##


#Message#
　
その時が、私の生涯で最も楽しく
喜びに満ちた毎日だった。
##


#Message#
　
掟を破ったことはすぐに知られてしまい、
たった一年足らずでお別れすることになったけど、
##


#Message#
　
彼の声、彼の笑顔は今でも覚えている。
##


#Message#
　
あのとき約束したんだ。
##


#Message#
　
これからもずっと一緒にいる、って。
##


#Message#
　
神の塔に近づくにつれ、だんだんと景色は寂しくなり
木々や大地から生気が失われていくのが分かった。
##


#Message#
　
ようやく見えてきた塔のまわりは
すっかり荒れてしまっていた。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
……。
##


#Message#
　
思い出の場所にたどりつたとき
期待していたようなときめきはなく、
むしろ不安を呼び起こさせた。
##


#Message#
　
あまりにも長い年月が、かつて大切にしていたものを
取り去ってしまったのではないかと思ったから……。
##


#Message#
　
この塔の前で彼が私を待っている、
そんな光景が全く想像できなくなっていたから……。
##


#Message#
　
真っ白だった外壁はくすんでしまっている。\!
触れてみると、かつて驚くほどなめらかだった石壁は
ひどくざらついていた。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
\c[3]（神様の力は
　まだ残っているはずなのに…）
##


#Message#
　
建物は住む人がいなくなると
すぐに朽ちてしまうという。
##


#Message#
　
今や、ここを訪れる人は誰もいないのかもしれない。\!
私がいなくなってから、
彼もここへ通うことをやめてしまったのね。
##


#Message#
　
周辺は変わり果ててしまったとはいえ
思い出の場所が目と鼻の先にある。
##


#Message#
　
彼を探しに行く前に
少し寄っていってもいいよね。
##



-----Page2-----
#Message#
　
両手で体重をかけて扉を開く。
##


#Message#
　
中から冷たい空気が流れてくる。\!
妙に甘ったるい香りがした。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 5, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
えっ？
##


#Message#
　
中が暗かったので、扉を大きく開いて光を取り込む。
##


#Message#
　
なんの冗談かと思った。
##


#Message#
　
何とも形容しがたい、奇妙な光景が広がっていた。
##


#Message#
　
暗い通路のあちこちに、――見間違いでなければ――
いくつものお菓子が散らばっているのだ。
##


#Message#
　
パイやケーキやクッキーやチョコレート。\!
壁には生クリームがべったり
塗りつけられているところもある。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 5, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
なんでこんなことに……
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 3, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
！？
##


#Message#
　
不意に背後から誰かの視線を感じた。\!
誰かが見ている気がする。鋭い視線だ。
##


#Message#
　
恐怖を感じて、私は塔の中に飛び込んだ。
##


#Message#
　
扉を閉めると、お菓子に使われた香料やバターの匂いで
思わずむせかえった。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 5, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
げほっ、げほっ。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 5, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]\c[3]
（なんでここはこんなことに
　なっているのかしら？）
##


#Message#
　
ぱし、と音がして足の裏に不快な感覚が残った。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 5, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
うわ、何か踏んだ……
##


#Message#
　
足を下げてみると、そこには粉々になった
ビスケットがあった。
##


#Message#
　
屈んで、ビスケットのかけらを拾い上げてみる。
##


#Message#
　
ここに散らばっているお菓子って
いつ作られたものなんだろう？
##


#Message#
　
顔に近づけて匂いをかいでみると、
焼いた小麦粉と香料の甘い香りの合間に
つんと鼻に突き刺さるような妙な匂いがした……。
##


#Message#
　
私はビスケットのかけらを放り投げた。
##


#Message#
　
これ、腐ってるんじゃないの？
##


#Message#
　
けれど、ここにあるすべてのお菓子が腐っているなら
もっとひどい匂いがするはず。
##


#Message#
　
少なくとも最近まで人がいたんだろうけど……。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: ＊, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]＊＊＊＊＊\n[5]
お客さん？
##


#Message#
　
充満するお菓子の香りと同じくらいの
甘ったるい声がした。
##


#Message#
　
通路の先から小柄な人影が姿を表す。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
……あなたは？
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 6, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
……えっと……
##


#Message#
　
髪を２つに結んだ少女が、
私をじっと見つめていた。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 5, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
私は……キリ。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
キリ？\!
変わった名前ね。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 15, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
私はシャロルっていうの。\!
この塔でずっと暮らしているのよ。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 5, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
そ、そうなんだ。
##


#Message#
　
私はまわりを見渡した。\!
この散らばっているお菓子について
聞くべきかどうか悩んでいた。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 15, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
ああ、これ？
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
私はね……お菓子の魔女なの。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
お菓子の魔女？
##


#Message#
　
少女が目の前に手を差し出してきた。
##


#Message#
　
はじけるような音とともに
小さな煙があがって消えたかと思うと、
少女の手の中にはクッキーがおさまっていた。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 6, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
……。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 15, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
あなたは久しぶりのお客さんだから
ごちそうしてあげるわ。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
上に来ない？\!
あなたの話が聞きたいの。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 8, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
あなたが知りたいことにも
答えてあげられるかもしれないわ。
##


#Message#
　
私の知りたいこと。
##


#Message#
　
彼が今どこで何をしているか。
##


#Message#
　
私がいなくなってから、彼はしばらくの間は
この塔に通い続けただろうと思う。
##


#Message#
　
この塔に住み着いている彼女なら
なにか知っているかもしれない。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
……分かった。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 5, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
じゃあ、お言葉に甘えて。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 15, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
うん、そうしたほうがいいよ。
##


#Message#
　
外から見るとけっこう大きいけれど、
頂上まで行くのはそう大変じゃない。
##


#Message#
　
階段を三つくらい上れば、もう最上階だ。
##


#Message#
　
ああ、なんて懐かしい。
##


#Message#
　
かつて『神の塔』で彼と会っていたころ、
ここまできては、この窓から森と空を見ていた。
##


#Message#
　
下の階はひどい有様だったけど
この場所は汚されていなかった。
##


#Message#
　
あの時のまま。
##


#Message#
　
足を止めた私のほうへ、少女が振り返った。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
私はね……
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
ん？
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
ここで待っているの。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
空を見て……
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
……？
##


#Message#
　
待っている？
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
多くの人にとって他人なんて
どうでもいいものよ。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
人は、その人間に利害を見出すのであって
本人のことなんて想っていないの。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
自分は愛に満ちているという人もいる。\!
あなたを愛しているという人もいる。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
でもその多くは真っ赤な嘘であるか
そう思い込んでいるだけなのよ。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
……
##


#Message#
　
彼女の言葉に共感はできなかった。
##


#Message#
　
だって私は人を愛するということの意味を
知っているから。
##


#Message#
　
他でもないこの場所で、愛を知ったのだから。
##


#Message#
　
少女は自嘲するようにふっと笑った。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 15, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
あなたは私を冷たい人間だと
蔑むかもしれない。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 3, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
あるいは愛を知らない可哀想な人間だと
哀れむのかもしれない。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
ただ頭のおかしい人間だと思って
恐れるのもいい。
##


#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
でも……
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
私はそれでも待っているの。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
空を見ながら、
あの子の声が聞こえるのを……。
##


#Message#
　
その言葉の意味は分からなかったし
問いただす気もなかった。
##


#Message#
　
私には分からない何かが彼女にあって、
それがほんの少し
こぼれ落ちてしまっただけだと思うから。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
じゃあ、行こうか？
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
どこへ？
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 15, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
あっち。
##


#Message#
　
少女が指差したのは、最上階へ続く最後の扉だった。
##


#Message#
　
最後の扉にはかんぬきがしてあった。\!
私は彼とよくここへ来ていたけれど
この奥に入ってみたことは一度もない。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
ここって入ってもいいの？
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
うん、いいの。
##


#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
このかんぬきを抜くのに
いつも苦労するんだけどね。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 15, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
ほら、手伝って。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 5, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
あ、うん。
##


#Message#
　
かんぬきを抜こうとする少女を手伝う。\!
二人で持ち上げてもなお重いそれを、
少々時間をかけて取り除いた。
##


#Message#
　
重い板を壁にかけたてて、
閉ざされていた扉を二人で開けた。
##



-----Page3-----
#Message#
　
そこには窓がなく、真っ暗だった。\!
部屋の中央には魔法陣のようなものが描かれ、
そのまわりを太い柱が取り囲んでいた。
##


#Message#
　
そこには神聖な雰囲気はなく、
ただただ近寄りがたいなにかがあった。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
……
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 5, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
……
##


#Message#
　
それ自体は別に驚くべきことじゃなくて、
なんていうか、普通だった。
##


#Message#
　
神様が不思議な力を残したというくらいだから
何かあるとは思っていたし……。
##


#Message#
　
それよりも目を引いたのは
その魔法陣の上にあるものだった。
##


#Message#
　
妙にきれいなただの白いテーブルと、２つの椅子。\!
テーブルの上にはティーセットが並んでいる。
##


#Message#
　
彼女はこの神の塔がなんなのか知っていて、
この印の上にテーブルを置いているのかな？
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
あれはなに？
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 7, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
ああ、あれはテーブルっていうのよ。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 12, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
それはわかる！
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 5, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
そうじゃなくて、なんでこんなところに
こんなきれいなテーブルがあるの？
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 15, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
毎日磨いているからね。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 5, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
毎日？
##


#Message#
　
ここに毎日来ているなら、
かんぬきなんて外しておけばいいのに。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 15, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
じゃ、座ってお茶にしましょ。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 5, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
……
##


#Message#
　
テーブルの上には二人分の
ケーキとお茶が置いてあった。
##


#Message#
　
これは多分、私のために用意されたものだわ。\!
この魔女は私が来ることを知っていたんじゃないの？
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
どうしたの？
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 8, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
あ、なんでもない。
##


#Message#
　
気のせいだよね？
なんだか嫌な予感がするの。
##


#Message#
　
話だけ聞いて帰ろうかな？\!
きっと、ここには長居すべきじゃない。
##


#Message#
　
とりあえず椅子に座って、
なごやかに会話をはじめてみる。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 8, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
ねえ、シャロル……だっけ？
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
そうよ。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 8, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
シャロルはなんで
ここで暮らしているの？
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
そうね……
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 3, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
キリはこの塔について
どれくらい知ってるかしら？
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 3, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
ここは不思議な力に満ちていて、
居心地がとってもいいの。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 3, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
それに、彼が私をここへ
連れてきてくれたから、
それからずっとここにいるの。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
……彼？
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
それって、
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 8, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
お話はあとにしましょ。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
え。
##


#Message#
　
話を打ち切られてしまった。\!
彼女の言う"彼"が誰であるのか
とても気になっているのだけど。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 8, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
このお菓子は自信作なの。\!
だから、先に一口食べて、
感想がほしいな。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 8, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
紅茶もね、私が入れたのよ。\!
最近はこれしか飲んでないくらい
お気に入りのものなの。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 8, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
そ、そうなんだ。分かった……
##


#Message#
　
魔女にそう答えて、私は手元を見下ろした。
##


#Message#
　
可愛くて小さなお皿の上に
クランベリーの赤いソースがかかった
チーズケーキが置いてある。
##


#Message#
　
二人分の紅茶は、赤い色をしていた。
##


#Message#
　
なんだか不気味だわ。\!
赤は好きな色だけど、
この赤は私の好きな赤とは違う。
##


#Message#
　
私が好きなのは燃えるような暖かな赤よ。
##


#Message#
　
私が好きな赤は、こんな、
血の、湿ったような赤じゃないわ。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 5, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
……
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 5, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
\c[3]（待って、\c[11]血\c[3]？）
##


#Message#
　
どうして私は、クランベリーと紅茶から
血を連想したのだろう？
##


#Message#
　
そんな疑問に気づくのとほぼ同時に、
目の前のそれが姿を変えていく。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 6, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
……
##


#Message#
　
暗い赤はそのままに、皿の上のケーキが
何らかの\c[11]肉片\c[0]へ変わっていく。
##


#Message#
　
ティーカップの赤色は紛れもなく
\c[11]赤黒い血液\c[0]そのものであった。
##


#Message#
　
私は椅子を蹴っ飛ばして立ち上がった。\!
後退しようとしてつまづき、尻もちをつく。
##


#Message#
　
魔女がフォークを肉片に突き立てようとしたとき、
私は半ば悲鳴に近い声で叫んで、止めた。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 6, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
やめてよ！
##


#Message#
　
魔女は不思議そうに私を見ていた。\!
やがて可愛らしい声で笑うと、フォークを置いて
椅子からゆっくりと立ち上がる。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 8, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
どうしたの？　食べないの？
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{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 6, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
それはお菓子なんかじゃない！
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 8, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
私にとってはお菓子なのよ。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 8, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
"あの子"以外の命なんて
私にとってはお菓子と同じ。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 6, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
人間の……命？
じゃあそれは……
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 8, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
みんな私のために死んでいったわ。
##


#Message#
　
この魔女は、人喰いだ。
##


#Message#
　
逃げなきゃ。
けど、力が抜けてしまって立ち上がれない。
##


#Message#
　
私はみっともなく、床を這いながら
魔女から離れようとした。
##


#Message#
　
魔女は悠々と大またで歩いてきて私の進路を塞ぐ。
##


#Message#
　
そして、チョコレートのように甘い声で囁いた。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: シャロル, 8, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]シャロル\n[5]
あなたも、お菓子になる？
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#Message#
　
死刑宣告を聞いて、
ようやく私は力を振り絞って立ち上がった。
##


#Message#
　
全力で駆ける。
##


#Message#
　
いつの間にか閉まっていた扉を開けようとするけど
当然のように開かなかった。
##


{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 15, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
誰か！　誰かぁ！
開けて！　開けて！
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#Message#
　
私は何度も扉を叩き、大声で泣き叫んだ。\!
せっかく天から降りてきて自由になったのに
魔女に食べられるなんてイヤよ。
##


#Message#
　
助けを求めて、扉を叩き続ける。
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#Message#
　
背後には魔女が迫ってきている。
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#Message#
　
魔女がどんな顔をしているかなんて
見たくもなかった。
##


#Message#
　
きっと、怯える私を見て
愉悦に顔を歪ませているだろう。
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{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 15, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
誰か助けてよ！
お願い！　ここを開けて！
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#Message#
　
私が握りしめた拳を
もういちど扉に叩きつけようとしたとき、
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#Message#
　
扉は唐突に開いた。
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{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: 偽死神五世, 5, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#
\n[3]キリ\n[5]
え……？
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{{{{{{{{{{{{{{{{{{{{ Select Face Graphic: アンデッドナイ, 1, Left, Normal }}}}}}}}}}}}}}}}}}}}

#Message#

……
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#Message#
　
誰？
##


#Message#
　
おそるおそる見上げると、
そこには白すぎる無表情な顔があった。
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#Message#
　
混乱の極みにあった私は、なぜその眼窩が
真っ暗なのかが分からなかった。
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#Message#
　
赤い服を着たその人は私に腕を伸ばし……
##


#Message#
　
私の体を抱え上げた。
##


#Message#
　
その人が魔女に背を向けて走り出したので
助けてもらえるのだと思った。
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#Message#
　
だから私は、その人の胸に顔をうずめて
何も見ないように目を閉じたの。
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#Message#
　
だって、塔のあちこちに散らばっていた
床のお菓子や壁のクリームは
散乱した人の死体や血に違いないから。
##


#Message#
　
あれだけ濃厚だった甘いお菓子の香りは、
腐った肉と鉄錆のような異臭に変わっていたのだから。
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